【クラウドファンディングって5種類ある】
さて、話が脱線したがクラウドファンディングに話しを戻そう。
日本では1999年にグリーンシートでクラウドファンディングの歴史がはじまったが、ここでお気づきだろうか。なぜ大蔵省が管轄だったのか?あなたが良く知るクラウドファンディングは、物を売ったり寄付を募ったりと言うものだろう。
そもそもクラウドファンディングは資金調達の手法のひとつだ。資金調達は現在では大蔵省から分かれた金融庁が主幹なのだ。
ん?物売りや寄付集めが金融なのか?そんな疑問が湧くだろうか。ちょっとその辺も解説しておこう。
ひとことでクラウドファンディングと言っても、会計&法律上5つに分類するのが一般的だ。この5つが会計的に売上タイプと金融タイプの2つのタイプに分類できる。
・売上タイプ
・金融タイプ
売上タイプは文字通り売上だ。これが広く世の中に知られているクラウドファンディングと呼ばれるものだ。
「ちょっと待って、クラウドファンディングって資金調達の方法のはず、寄付なら貰いっぱなしだからいいけど、売上になるんじゃ資金調達じゃないじゃん」そう思ったあなたは会計センスがある。この売上タイプのクラウドファンディングの何が資金調達かというと、「時間差」である。
事業は一般的には仕入れてから売る。資金の順番だとお金を払って仕入れてから売れるとお金が入ってくる。先に払って後から入金なのでこの時間差を埋めるために資金調達が必要なのだが、売上タイプのクラウドファンディングは先にお金をもらってからその金で仕入れて後で商品を渡すのでこの間、資金が使えるのだ。この時間差を資金調達と呼んでいる。
これを利用して、コロナで疲弊した飲食店が食事券を販売して入金がされて後日お客様がその食事券を持ってきて食事を振る舞う。とか、発明品を発表して先に買っていただきその入金されたお金で材料を仕入れて製作して数ヶ月後に完成したものを納入する。といった例がある。
これがクラウドファンディングと言われるゆえんだ。つまりクラウド(群衆)からファンディング(資金調達)する。わけだ。知名度アップとかイベントで盛り上げるとか市場調査などにも活用できるが、それは応用であって本質ではない。応用することは悪いことではないが、昨今はこうした本質を理解しないで応用編での利用が横行しているので、本質を忘れるとこの制度自体の存在意義が問われることになるかもしれないと危惧している。
この売上タイプのクラウドファンディングには会計的に2つの型に分類される。「購買型」と「寄付型」だ。いずれも会計上は損益計算書に計上される。購買型は売上に。寄付型は営業外収益にそれぞれ計上される。従ってそのまま所得税の課税対象になる。
売上タイプに対して金融タイプとはどういったものか、金融タイプは文字通り金融だ。従って会計上は貸借対照表に計上される。
損益計算書、貸借対照表・・・う~んと唸った社長はすぐに勉強するか社長やめるかの選択をした方がいい。そのまま続けてヘタに黒字になったりしたらその先には不幸しかない。財務を理解しないで売上と利益だけ拡大して散っていった社長をたくさん見てきた。そうした社長を救えなかったのは慚愧に堪えない。
金融タイプは法律で3つの型に分けられる。「基金型」「融資型」「株式投資型」だ。先ほど述べたグリーンシートは今日では株式投資型クラウドファンディングに分類できる。
つまり整理するとこうなる
・売上タイプ—–「購買型」
—「寄付型」
・金融タイプ—–「基金型」
—「融資型」
—「株式投資型」
金融タイプのそれぞれについて解説していこう。基金型クラウドファンディングは一つの投資目的を決めてその目的に賛同した投資家から運営者が基金として期限を決めて目的に沿ってお金を運用する。期限が来たら清算をしてお金を出した投資家に償還(返金)する仕組みだ。多くの場合、不動産の運用に使われるので不動産投資型と言われることもある。この場合の運用とは家賃収益や売却益を得ること。ただ法的には不動産投資に限られてはおらず、実際株式会社への投資に使われるケースもあるので不動産投資型と言うのは偏った言い方だ。期限があるので会社が基金型で資金調達をしてしまうと返済不能となる。その際にはまた別の資金調達をしなければない。調達ができなければ破綻するという恐ろしい手法だ。
融資型クラウドファンディングは運営者が融資先を審査し、その融資をするための資金を投資家から募る仕組みだ。別名ソーシャルレンディングとも呼ばれていて、調達した資金は返済することが前提だ。多くの場合募集する際には、利回りが決定していて投資する人がリターンとして受け取る仕組み。融資型クラウドファンディングは、投資する側にとっては大きな元手がなくても運用がしやすく社債よりも高めのリターンとなることが多いものの、借り手企業が返済できない場合には、投資した元本が戻ってこないと言うリスクがある。いざとなったら売却して返済ができる土地を担保にするなどの安心感がないと実際には資金調達は難しい。
株式投資型クラウドファンディングは資本主義の基本中の基本、その名の通り株式を発行して買ってもらうクラウドファンディングだ。つまり株主を募集するクラウドファンディングだ。これは1999年まで上場企業だけに許された特権だったのだ。逆にいうと上場企業以外は自由な資本主義が禁止された国だったのである。日本という国は。
2015年の法律改正でさらにどんな株式会社でも自由に資本金調達に挑戦が許されるようになった。それまで消極的だった管轄の金融庁も積極的に推進する意思を示し現在6社に金融一種免許を与えている。
売上タイプのプラットフォーマー(マッチングサイトの運営会社)は許認可なしで誰でもできるが、金融タイプには金融庁の実質的な許認可が必要なのだ。その中でも株式投資型クラウドファンディングのプラットフォーマーが持つ金融一種免許は特に厳しい条件が課せられておりその分信用度が高い。
・C Fスタートアップス
・ユニコーン
・eクラウドなど6社がある。
ここに挙げた3社とは懇意にさせていただいており、各社積極的に投資家とのマッチングを通して社会への貢献を果たしている。